ゆうとう泌尿器科クリニック

前立腺がん、前立腺がん検診

前立腺がん

前立腺がんとは

前立腺は膀胱の出口で尿道を取り囲むように存在する臓器です。精子の栄養や保護に必要な前立腺液を作っています。前立腺から発生したがんを前立腺がんといいます。
日本では1年間に9万人以上の方が前立腺がんと診断され、日本人男性のがんでは前立腺がんが最も多くなっています。

画像:前立腺がん

原因

遺伝、食生活、年齢、男性ホルモンなどが関連していると考えられています。

遺伝

父親や兄弟に前立腺がんの方が1人いると2倍、2人以上いると5~10倍前立腺がんにかかる可能性が高くなります。

食生活

乳製品、カルシウム、脂肪、肉、砂糖、喫煙などは前立腺がんのリスクを高める可能性があります。

症状

進行するまで症状はほとんどありません。

進行すると

  • 尿が出にくい
  • 尿が近い
  • 尿に血が混じる

といった症状が現れます。

進行した前立腺がんは骨に転移することが多いため、骨の痛みや骨折、下半身のまひで発見されることも少なくありません。

検査

通常、以下の順番で検査を進めます。

実施項目
PSA検査超音波検査、前立腺MRI、前立腺針生検、CT、骨シンチグラム
  1. PSA検査
前立腺がんの腫瘍マーカーです。前立腺がんの検診にも使われます。
詳しくはこちら
  1. 超音波検査、前立腺MRI
前立腺がんの可能性が高いかを判断します。
  1. 前立腺針生検
前立腺の一部を針で採取して、顕微鏡でがんがいないか調べます。
前立腺針生検でがんが見つかると前立腺がんと診断されます。
詳しくはこちら
  1. CT、骨シンチグラム
前立腺がんが他の臓器に転移していないか調べます。

治療法

転移が無い場合

手術、放射線治療が中心となります。

転移がある場合

ホルモン療法、抗がん剤が中心となります。

ホルモン療法

前立腺癌は男性ホルモンによって成長します。
ホルモン療法は、体の中の男性ホルモンを無くすことで前立腺がんの進行を抑える治療法です。
現時点では最も有効な薬の治療で、転移のある前立腺がん治療の基本となる薬です。
通常は内服薬と注射の薬(皮下注射)を使用します。

前立腺がん検診

前立腺がん検診について

前立腺がんは他のがんと比べても進行がゆっくりであることが多く、早期に発見して適切な治療を受けることで、しっかりと治すことができる可能性の高いがんです。
前立腺がんは進行するまで症状がほとんどありませんので、早期に発見するためには症状が出る前に前立腺がんを見つける必要があります。
そこで50歳以上の男性を対象に、前立腺がん検診として定期的に前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSAを測ることが推奨されています。
また父親兄弟に前立腺がんの方がいる場合には、2~10倍前立腺がんになる可能性が高くなるため、40歳代から人間ドックなどでPSAを測ることが推奨されています。
実際に前立腺がん検診を受けることで、早期に前立腺がんを発見することができ、前立腺がんの死亡率を下げることができると証明されています。

画像:膀胱炎

PSAについて

PSAは前立腺で作られているタンパク質で、血液検査で測ることができます。
前立腺がん、前立腺肥大症、前立腺炎など、前立腺に問題があると高くなり、加齢によっても少しずつ高くなります。
特に前立腺がんで高くなるため、前立腺がんの早期発見のための腫瘍マーカーとして使用されています。

PSAが高いと言われたら

PSAが4ng/mL以上の場合にPSAが高いと判断されますが、PSAが4ng/mL前後であっても約30%の方に前立腺がんが見つかります。
また、PSAは年齢とともに高くなる傾向があるため、50歳から64歳ではPSA 3ng/mL以上、65~69歳ではPSA 3.5ng/mL以上で、PSAが高いと判断することもあります。
PSAが高いと指摘された場合には、泌尿器科専門医を受診しましょう。